令和8年2月1日
文化庁長官
都倉 俊一 殿
日本民具学会
会長 神野 善治
拝啓 時下ますます御清祥のこととお慶び申し上げます。
私ども日本民具学会は、民具をはじめとする有形の民俗文化財の保存・研究に携わる学術団体として、現在示されている博物館法施行規則改正告示案について、深刻な懸念を抱いております。
民具をはじめとする有形の民俗文化財は、地域の人々の生活の歴史、自然環境との関わり、技術の継承を具体的に物語る、かけがえのない文化遺産です。現在、日本国内においては、貴庁によるこれまでの施策や支援を背景として、各地の地域博物館を中心に数多くの有形の民俗文化財が収集・保存されており、その質と量は、世界有数のものとなっております。そのほとんどは、地域住民の善意と信頼による寄贈・寄託によって、長い時間をかけて博物館に蓄積・収蔵されてきたものです。
それぞれの博物館においてこれらを末長く保存していくことは、日本各地の多様な生活文化と地域固有の歴史を未来に伝えるための最も基本的かつ重要な使命であり、それを引き続き推進・支援することこそが、国の責務であると考えます。
しかるに、今回新たに加えられた改正案第6条1項に示された「学術研究の状況」「資料の重要性」「展示上の効果」により、2項「再評価に基づく交換、譲渡、貸与、返却、廃棄等」の検討に関する文言は、民俗文化財のみならず地域博物館における地域資料(民俗資料・歴史資料・古文書・美術工芸品・考古資料等)の保存の在り方を根本から揺るがしかねない内容であり、当会として看過できるものではありません。
もし改正告示において、「再評価」にもとづく「廃棄」が国の示す「望ましい基準」として明記されるならば、地方公共団体をはじめとする博物館設置者に対し、博物館資料の廃棄や処分を事実上是認・推奨するメッセージとして受け取られかねません。
そこで、貴下におかれましては、博物館が民具をはじめとする地域資料を末長く保存することの意義を改めて御理解いただき、「博物館の設置及び運営上の望ましい基準の全部を改正する告示」において、博物館資料の「廃棄」や「処分」が是認されることのないよう、6条2項を全文削除、あるいは「廃棄」の文言を削除いただきたく、強く要望する次第です。
なお、日本民具学会は本件について、令和7年12月26日に別添資料の通り意見表明を行なっており、一般社団法人日本民俗学会をはじめ48団体(令和8年1月31日時点)の学術団体が賛同していることを申し添えます。
敬 具
博物館法施行規則「博物館の設置及び運営上の望ましい基準の全部を改正する告示案」
に関する要望について(PDF)
博物館法施行規則「博物館の設置及び運営上の望ましい基準の全部を改正する告示案」に対する意見表明
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